「飲み方研究家」にして「そそぎ手」のサイトウです。
本日は僕が好きな薬草系のリキュールの一種「アブサン」について。
僕がまだ若い頃、客としてBARで飲んでいる時に「アブサン飲んだことある?」とすすめられて飲んでみたのが薬草系リキュールとの出あいです。フランスメーカーのアブサンである「アブサント(ABSENTE)」を水で割っていただきました。
最初に飲んだ感想は「なんだ、この味・・」ですが、何度か飲むうちにその独特の香りや味が癖になり、今でも好んで飲んでいます。
「アブサン」は、ニガヨモギ、アニスなどのハーブを主成分とする薬草系リキュールです。元々は透明ですが、水を加えると、お酒の中に溶け込んでいるハーブの非水溶成分(精油成分)が水に反発して出てくるので白く濁ります。
水割りやソーダ割のほか、砂糖を溶かしいれて飲む方法も面白いです。
アブサンを注いだグラスのふちに穴の開いたスプーンを渡し、そこにアブサンを浸した角砂糖を置き火をつけます。そうすると焼け溶けた砂糖がスプーンの穴からアブサンの中に落ちていきます。
スプーンの上に乗せた角砂糖にポタポタ水を落として溶かし入れる方法もあります。こちらの方がスタンダードですかね。砂糖が入ったアブサンは、一口飲んだ瞬間に甘さを感じ、次に薬草の味わいが広がります。
使用する穴が開いたスプーンは「アブサン・スプーン」と名付けられて、コレクターも多くいます。芸術的なものも多いので、興味のある方は検索してみてください。
アブサンは薬酒として治療目的で生み出されますが、19世紀のパリでは広く人気を博し、ピカソやゴッホ、ロートレックなどが好んで飲んでいたそうです。
ニガヨモギの香味成分であるツヨン(ツジョン)に幻覚を引き起こす成分があり、普通の感覚とは違う芸術を生み出すのに寄与する一方、芸術家たちの精神や身体を蝕んだ・・・と言われていました。
が、現在では余程の量でない限りニガヨモギには幻覚作用はなく、蝕んだ原因は粗悪品の流通や単なる飲み過ぎだったとされています。
若い僕はアブサンを飲みながら、破滅的に生きた芸術家に思いを馳せていたので、幻覚作用はなかったと聞いた時は「あの気分は何だったのか」とも思いましたが、今は「飲み過ぎはダメよ」という教訓としています。
アブサンとの出あいを皮切りに「ハプスブルグ アブサン」や「ペルノー(ニガヨモギを使用してないので、アブサンではなくパスティスというジャンル)」を飲むようになり、しばらく「ピカソ 青の時代」風に「サイトウ 強酒の時代」が訪れます。
この話はまた別の機会に。
もちろん「そそぐ」でも香草系リキュールをお出しします。好き嫌いが分かれるお酒ではありますが、ぜひ一度試してみてください。
アブサンこぼれ話(1)
箱根 彫刻の森美術館がピカソ展に際して「ピカソの本名を知っていますか?」と長い名前を読み上げるだけのCMを流していたのですが、「覚えたらネタになるかな」と思って覚えました。※カウンターで披露したら結構好評でした。
このブログを書きながら「まだ覚えているかな?」と試しにつぶやいてみましたが、いけました。「そそぐ」のカウンターでもご希望があれば披露します。
ちなみに「パブロ、ディエーゴ、ホセ・フランシスコ・デ・パウラ、ホアン・ネポムセーノ、マリーア・デ・ロス・レメディオス、クリスピーン、クリスピアーノ、デ・ラ・サンティシマ・トリニダード、ルイス・イ・ピカソ」です。
アブサンこぼれ話(2)
このブログを読んで、水島新司氏の野球漫画「あぶさん」を思い起こした方も多いと思います。そんな「あぶさん」の主人公「景浦安武」のモデルになったと言われる元プロ野球選手の永淵洋三氏が佐賀県佐賀市で「あぶさん」という名前の焼き鳥店を営業していらっしゃいました。(2018年に大変惜しまれつつ閉店なさっています)
永淵さんは、首位打者を獲る打撃センスとともに酒飲みとしても有名で、テレビの番組で「二日酔いで、試合中のグラウンドにリバースした伝説の選手です」と紹介されていました。
念願叶って「あぶさん」に伺った際に「あの話、本当ですか?」と質問したところ、「まぁ、あ、でも二軍の試合ですよ」とちょっとはにかんでおっしゃっていました。
アブサンこぼれ話(3)
昨日これを書いていたらどうしてもペルノーが飲みたくなり、近所に出かけました。
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