そそぐ This Bar is SO SO GOOD.

福岡市中央区薬院にあるBAR。世界の「カンパイ」のかたちをキュレーション。お客さまとの対話でその人にぴったりの “ 飲み方 ”を提案するBARです。

「そそぐ」のフードメニュー(2)

「そそぐ」のイシザキです。

 

前回は、「そそぐ」のフードメニューを、沖縄の食堂黒猫さんをパートナーに進めていることを書かせていただきました。

sosogu.hateblo.jp

 

今回は、フードメニューを生み出していただく過程について書きたいと思います。

過程のスタートは、私から食堂黒猫さんへの発注・依頼でした。

 

会社員時代、幾つかの分野(デザイン、Webサイト、CM等)を発注する機会がありました。もちろん発注先(製作者)の選定は大切ですが、発注側(依頼)の担当者によっても仕上がりが全然違うことを知りました。

何が違うのかを観察した私の結論は、発注担当者の「熱意」と「意志」です。(「結果、精神論!」※霜降り明星 粗品の声で再生ください)

その他、依頼する部分だけを切り取るのではなく、全体を伝えることで制作者の力・特長が期待以上に発揮され易い(「伸びしろですね!」※ここはケイスケホンダの声で)、必須要件・ノックアウト要件はなる早で伝えるが吉だと学びました。

 

自分の店なので、私の熱意は十分です。食堂黒猫のサキさん、クリスさんは、スタート時から私が圧倒されるほどの熱意をもっていらしたので、私の熱意を改めて伝えるまでもありませんでした。むしろ「ステキなお店になりそうですね!」「頑張りましょう」といつも励ましてもらっています。

                                 

また、実は当初、食事がメインのお店のシェフにBARのフードメニューを依頼するのは、業態のギャップ(料理としてはプレシャスでも、BARのフードには最適ではない等)があるのではないか・・と懸念していましたが、最初の打ち合わせの際に「おふたりが笑顔でお客様に接せられることが大事なので、そこを考えてフードをデザインします!」と言っていただき安心しました。

※この時、私はフードの「デザイン」が何を指すのかわかっていませんでしたが、話し合いを進めるうちに、サキさんが言う「デザイン」の意図を理解します。ここは後述。

 

熱意は万全なので、フードの依頼(いわゆる要件定義)では、フードの部分だけではなく、「そそぐ(この時点では名前が未定だったので“福岡新店”と呼んでいました。今考えるとパチンコ屋さんっぽいですね)」がどんなコンセプトなのか、その中でドリンク、フードにどんな役割をもたせたいか等をお伝えしました。

 

ドリンクは、アルコールの強弱をコントロールできるような仕組みを考えています。

フードに関しては、1軒目として来る方、2軒目として来る方がいるので、メニュー数を絞りつつも量や食感の力強さ(?)は幅をもっておきたいと希望を出しました。

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依頼時の資料:ドリンクの役割

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依頼時の資料:フードの役割

 

依頼をして数週間後、サキさん、クリスさんから具体的なメニュー提案を受けました。

「メニュー数を絞りながらも網羅性のあるメニュー布陣」は依頼通りでしたが、それ以上に「日々の運営」への配慮があり、「これがデザインってことか」と納得しました。

 

「デザイン」を感じた点

・事前の仕込みと注文が入ってからの調理のバランスが、運営に即して綿密に計算されている。
「そそぐ」はお客様との対話を大切にしたいと考えているお店です。営業している時間は調理にかける時間をできる限り短縮して接客に割けるよう、事前の仕込みのウエイトが高くなるよう考えられていました。

 

・限られた厨房機器・調理器具で実現できるメニューになっている

高価格の厨房機器は不要で、調理器具も複数メニューで活用できる。(1品のためだけに買う調理器具はない。)

※ただし、事前の仕込みが重要な分、冷凍冷蔵庫の容量は大きくなる

 

・状況にあわせて材料が選択できるメニューがある

仕入れ値が変動する野菜は、野菜の種類を変えてもクオリティを一定に保つ味付けが工夫されている。

 

デザインを上手く説明できていませんが・・。フードメニュー開発は「レシピが1品ずつ提供される」ようなイメージを持っていたので、それぞれのフードメニューが「機能し合う」ことを計算された提案に驚きました。

その後、打ち合わせ重ね(かなり率直な意見交換ができるチームになりました)、現在メニューが固まりつつあります。実際のメニューは、追って紹介してまいります!

 

余談ですが(1)

食堂黒猫のおふたりは沖縄在住、我々は福岡在住のため、打ち合わせはビデオ会議(主に appear.in)、Messengerのテキストを使っています。便利な世の中になったものですなぁ。沖縄で対面での打ち合わせをしましたが、もはや「いつもの感じ」でした。

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打ち合わせ@食堂黒猫の様子

 

余談ですが(2)

知り合いにお店の話をすると、高確率で「ところで、フライドポテトはちゃんとあるのか」と確認されるので、途中から「フライドポテトを出したい」とレシピ開発を依頼しました。フライドポテトもプレシャスな1品になりますのでご期待ください。

 

余談ですが(3)

食堂黒猫さん開発のメニューのほか、サイトウ秘伝のデリ(おつまみ)や、イシザキの友人のご家族(トルコ生まれの料理研究家)から伝授してもらった日本人の口に合わせたトルコ料理などもリストアップしています。こちらもまた報告させてください。

 

そそぐHP: http://sosogu.jp