そそぐ This Bar is SO SO GOOD.

福岡市中央区薬院にあるBAR。世界の「カンパイ」のかたちをキュレーション。お客さまとの対話でその人にぴったりの “ 飲み方 ”を提案するBARです。

未来食堂でのまかない体験:前編

「そそぐ」のイシザキです。

 

これまで、飲食店でのアルバイトで学んだことを書きましたが、今回は「未来食堂」での2回の「まかない体験」について書かせていただきます。

 

「未来食堂」は東京・神保町にある飲食店です。

オーナーの小林せかいさんが、会社勤めの中で得たノウハウを飲食店運営に生かした効率性や、50分お手伝いすると1食もらえる「まかない」、おかずにお客様のご希望に沿った一品を提供する「あつらえ」等ユニークな制度が数多くのメディアで取りあげられているので、見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

未来食堂 - あなたのふつうをあつらえます


小林せかいさんは、本も執筆なさっています。

会社を辞め、飲食店開業を目指すと決めたばかりの時に、知人から小林せかいさんの本を薦められました。

「たくさんの人が飲食店を開業しているけど、開業のプロセスをここまで整理して書き記して開示している人はいないので、参考になります。これから始める人には有難い本ですよ」とのこと。

「あ!イシザキさんが小林せかいさんがやり遂げたことを1人でやらなくて大丈夫ですから、心配しないでください」との付け加えもありました。

 

その時に読んだのは、「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」というタイトルで、これは開店までのブログをまとめた「未来食堂ができるまで」に続く2冊目の本です。

読んでから時間が経っているので今回は感想を書けませんが、「未来食堂」のサービスの1つひとつが、理念と合っているか、経営視点でどうかが検討された上で実現に至っていることを感じました。


これを開店準備期間だけでなく、開店後、日々お店を運営しながらやっているのだと思うと・・・きっと物事を体系化するのが得意で、料理をしながらも頭のCPUがカリカリ・・と稼働し続けているんだろうなぁ~と本を閉じて遠い眼をしました。

 

知人が「あ!イシザキさんが一人でやらなくて大丈夫ですからね」って補足してくれた意図がよくわかりました。ここまで突き詰めなければならないのか・・と更に遠い眼(モロッコ辺りを見つめるような)をしたことでしょう。

 

1回目のまかない体験(2018年10月)

まかないを体験したいと思い、東京へ行った際に未来食堂でランチを食べ、会計の際に店主の小林せかいさんに「まかない希望です」と伝えました。翌々日の朝に、まかないができることにないました。

※「まかない」とは http://miraishokudo.com/makanai/info.html

 

まかない希望者向けのガイドがあるので、事前に読み込みます。

心得の他、まかないの流れや正しい手洗いの方法、ルールが記載してあります。エプロンについて「エプロンは蝶結びせず、固結びにすること。蝶結びにしている時点でこのガイドを読んでないと判断し、怒ります。」と赤文字で記載があるので、ビビってYouTubeを見ながら練習して臨みました。(YouTubeって本当に便利ですね)

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エプロン結びを闇練

 

まかない体験当日は「おはようございます」と伺ってから、身支度します。エプロンの結びは万全。

のっけから、バシバシ指示を受けます。「今日はい天気ですね」「そうですね」等の社交辞令やラポールの形成はほぼありませんが、これもガイド通りです。

※長くまかないをやっている人は、私よりは大きめの指示(例えば「店の入り口に掃除機かけて」ではなく「開店前の清掃して」)のようです。私への指示は初心者用。

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分かりやすいガイドを有言実行

 

 

3時間程の短い時間ではありましが、1回目のまかない体験を通して特に感じたこと2つ。

 

・仕込みや片付けを毎日毎日やり続ける仕事である

当たり前なんですが。

人気の著書があり、アワードの受賞をしている小林せかいさんが、黙々と大量の玉ねぎを切り続けたり、次々と食器を片付けていく様子を見て、これを毎日やり続けることがベースになる仕事なんだと再認識しました。

当たり前なんですが。

 

・判断、改良の連続であること

お店の運営にあたり、いろいろな検討を経て判断していることは本で読んでました。

私が伺った日は、ちらし寿司を初めてメニューとした日でした。お客様ご自身に白米とすし酢を合わせて、その上に具材を乗せて召し上がっていただきます。お客様にどう案内するのが伝わり易いのか、2時間弱の間でもいろいろなトライアル(隣の人にも聞こえるよ大きめの声で案内したり、デモを見せたり)を経てサービスが磨かれて行きました。

小さな点も「こうやった方がより良くなるのでは」という判断・改良がなされ、お店のサービスはその積み重ねなんだなと思いました。

  

実務的な学びもありましたが、マインド面が心に残っています。

まだ働く自分の姿が漠然としか見えていなかった時期のまかない体験は、「自分は、こういうことやり続ける仕事を志すんだ」という心得をする機会になりました。

 

「そそぐ」を具体的に考えてから臨んだ2回目のまかない体験では、また違う気付きを得たのですが、長くなったので次回に続きます。

 

余談ですが

福岡に戻ってきて、まかない体験のお礼のメールをお送りしました。

「実は飲食店開業を目指していて、今回こんな点が勉強になりました」という内容を書いて送信したところ、数分後に「では次回は調理もやった方がいいですね!」と返信が来て驚きました。

仕事が早い人って、いろんなことの行動が早いですね。小林せかいさん、実は2人いるんじゃないかしらと思う程でした。



未来食堂でのまかない体験:後編

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