「そそぐ」のイシザキです。
コロナ禍の時間短縮営業でできた時間で、「旅」と「お酒」について想いを馳せてブログを書いています。
2つめは、カナダのカクテル「Caesar(シーザー)」について。
- トロント滞在
カナダに行ったのは2004年夏の一度だけ。もう17年も経ちます。
2004年6月から約10か月にわたる世界一周のスタートにあたり、「ちょっとは英語が話せるように」と、トロントの語学学校に8週間通いました。
大半の人は語学学校が探してくれるホームステイを選択する中、「もう10年以上一人暮らしだし、他人と住めないだろうなぁ」と夏休みで生徒が不在の大学寮を間借りしました。
トロントは世界各国からの移民が多く暮らす都市として有名です。
2004年当時も「30%以上が移民」と聞いていましたが、今は50%を超えているようです。アジア系の方も多く、私が歩いていてもトロント生活者なのか、旅行者なのか傍目ではわかりません。
誰がどんな格好をしていようと、然して気に留める様子もなく、カタコトの英語でも内容を察してくれる人も多く(英語が母国語じゃない人も多い)、海外滞在初心者の私にとっては大変過ごしやすい場所でした。
移民で形成された街も多く、中華街はもちろん、イタリア街、ギリシア街、ポルトガル街等いろいろありました。それだけ、食のバリエーションも豊かで「今日はチゲでも食べるかなー」とコリアン街に出かけたりと、食事面でも充実した日々でした。
8週間の語学学校で英語力は身についた気はしませんが、照れずに英語で話してみる度胸は身に付きました。(或いは、でたらめな英語を話すことへの羞恥心が消えました)
また、友達がたくさんできました。「そそぐ」を開店するにあたっても、お酒の銘柄の相談にのってもらったり、お祝いをもらったりと今でも付き合いがあります。
- カナダ(オンタリオ州)のお酒事情
トロントがあるオンタリオ州の飲酒は19歳になってから。
「おおらかな国」との印象が強いカナダですが、飲酒に関しては日本よりも制約が強めです。
野外での飲酒は基本的にNGで、公園でBBQしながら缶ビールって訳には行きません。
お酒を飲む場所だけではなく、販売しているお店も限りがあります。
政府が公認したライセンスをもつ店舗のみが販売可能なのですが、2004年時はコンビニや小さなスーパーでは売られておらず、以下3つのいずれかに行く必要がありました。
- LCBO(Liquor Control Board of Ontario)
- Beer Store
- Wine Rack
※2015年からアルコールの販売ルートが見直され、2018年には多くのスーパーでのビールやワインの購入が可能になったそうです。ネット情報。
※州によってルールが異なります。ケベック州は2004年当時でもスーパーで手軽に購入できました。
カナダのビールは味わいがしっかりありながらも、飲み飽きないものが多い印象です。夏だったのでラガーを選ぶことが多かったですが、エールタイプも豊富。
- Caesar
ようやくカナダ生まれのカクテル「Caesar(シーザー)」について。
Wikipediaによると、シーザーは1969年にカルガリーのCalgary Innホテルのレストランのマネージャーである Walter Chell が、イタリアンに合うカクテルの開発の命を受けて、ボンゴレ・スパゲッティからヒントを得て生み出したとのこと。
「1969年って結構最近だな」と思うのは、「2000年以降は最近の曲」と認識する私だけでしょうか。
シーザーを超ザックリ言うと「ウォッカをトマトジュースで割る『Bloody Mary(ブラッディ・メアリー)』のトマトジュースの代わりに、クラマトを使ったもの」です。
そのため「Bloody Caesar(ブラッディ・シーザー)」とも呼ばれます。※
※諸説あります。Bloodyにはスラングで「とっても」と強調に使われる場合があり、試作を飲んだ人が「That’s a damn good bloody Caesar!(めちゃうまいシーザー!)」と感激したから・・という説もありました。日本式に言うと「鬼ウマい!」から「鬼シーザー」って感じでしょうか?
ちなみに「Bloody Mary(ブラッディ・メアリー)」は、300人に及ぶプロテスタントを処刑した英国のメアリー1世が由来なので、Bloodyの意味通り「血みどろな」です。
Caesar(シーザー)部分は、イタリア料理に合わせたカクテルだけあって、イタリアの英雄ジュリアス・シーザーから。
お店によってレシピも様々で、ソースやタバスコ、ペッパー、セロリなどを加えて味に変化を出します。写真を検索していたら、唐揚げが乗ったものもありました。斬新。
ウォッカと並んで主役である「クラマト」、日本ではあまり見かけませんが、カナダではスーパーの棚に並んでいます。ハマグリエキスと濃縮トマト、各種スパイスで作られたドリンクですが、身近なものに味を例えるならば、ボンゴレ・ロッソのソースに近いと思います。(ボンゴレ・ロッソが身近かどうか賛否あるかもですが)
心の準備がないと一口目は驚く味ですが、貝の旨味だしとトマトの酸味、絶妙なスパイスがウォッカと合わさった癖になる味わいです。
「そそぐ」では、ウォッカをクラマトで割るのを基本とし、タバスコとセロリソルトを添えてお出ししています。そのほか、ご希望があればお応えできるよう尽力いたします。
お店でアルコールを楽しめる状況になりましたら、ぜひお試しください。
- Caesarの想い出
イシザキがいつシーザーに出会ったのか、その時どんな第一印象を持ったのかは思い出せませんが、1998年頃には下北沢近くにある信濃屋でクラマトを買って、冷凍庫にあるウォッカを割って飲んでいました。
2004年にトロントにある大学寮に住んだ時も、「ほしい時にすぐビールが買えない」という背景もあって、部屋にウォッカを常備しておき、スーパーで買ったクラマトで割って飲んでいました。
トロントのBARには、ほぼ必ずシーザーがあります。部屋だけではなくお店でも「おぉ、これが本場の味か!」と頻繁に楽しんでいました。
そんなイシザキにちょっとした試練が訪れます。
私が行った語学学校は、“アクティビティ”と称したカナダの文化を楽しむイベントが催されていたのですが、そこでシーザーが登場しました。(学校内だったか、みんなでバーに行ったのか思い出せません)
先生が「はーい、このカナディアン・カクテルを飲んでみて」とニヤニヤ笑いながらシーザーを勧めてきます。
他の生徒さんは若い人が多いこともあり、きっと初めて出会うシーザーに「うわ!なにこれ?!」とリアクションし、先生もげらげら笑っています。
イシザキは思いました。
「さて、どうするのが正解か」
飲んだことあるし。
むしろ好きだし。
何なら今日帰ったら冷蔵庫にあるし。
でもここで「あ、飲んだことあります」と言っていいのか。
やっぱり初めて飲むリアクションをした方がいいのか。
社会人経験を積み、30歳を迎えている私は、周りの雰囲気と自分の気持ちで揺れました。
しかしながら、その後、自分がどんな行動を取ったのか全く覚えていません。
何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない(シーザーの名言)
何か生み出したとは到底思えないけど、私のせいでその場が盛り下がったりしてませんように。17年前のことを願っても仕方ないですが。
概して人は、見えることについて悩むよりも、見えないことについて多く悩むものだ。(シーザーの名言)
<おまけ>
広大なカナダのほんの一部ですが、写真を掲載いたします。
COOLPIX3200(Max 320万画素)、しかも容量節約(メモリーカートも高価な時代)のために一番小さな画素で撮った粗い写真ですが、ご容赦ください。
- Toronto(トロント)
- Otawa(オタワ)
カナダの首都で、行政の中心です。
- Quebec City(ケベック シティ)
公用語がフランス語であるケベック州は、フランスの文化が色濃く残ります。
- Niagara Falls(ナイアガラの滝)
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