そそぐ This Bar is SO SO GOOD.

福岡市中央区薬院にあるBAR。世界の「カンパイ」のかたちをキュレーション。お客さまとの対話でその人にぴったりの “ 飲み方 ”を提案するBARです。

旅とお酒(2)カナダのカクテル「シーザー」

「そそぐ」のイシザキです。

 

コロナ禍の時間短縮営業でできた時間で、「旅」と「お酒」について想いを馳せてブログを書いています。

 

2つめは、カナダのカクテル「Caesar(シーザー)」について。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528125436j:plain

カナダ発祥のカクテル「Caesar(シーザー)」

 

  • トロント滞在

カナダに行ったのは2004年夏の一度だけ。もう17年も経ちます。

2004年6月から約10か月にわたる世界一周のスタートにあたり、「ちょっとは英語が話せるように」と、トロントの語学学校に8週間通いました。

 

大半の人は語学学校が探してくれるホームステイを選択する中、「もう10年以上一人暮らしだし、他人と住めないだろうなぁ」と夏休みで生徒が不在の大学寮を間借りしました。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528125706j:plain

Google Mapで探したらまだあった!Ryerson University(ライアソン大学)の学生寮

 

トロントは世界各国からの移民が多く暮らす都市として有名です。

2004年当時も「30%以上が移民」と聞いていましたが、今は50%を超えているようです。アジア系の方も多く、私が歩いていてもトロント生活者なのか、旅行者なのか傍目ではわかりません。

 

誰がどんな格好をしていようと、然して気に留める様子もなく、カタコトの英語でも内容を察してくれる人も多く(英語が母国語じゃない人も多い)、海外滞在初心者の私にとっては大変過ごしやすい場所でした。

 

移民で形成された街も多く、中華街はもちろん、イタリア街、ギリシア街、ポルトガル街等いろいろありました。それだけ、食のバリエーションも豊かで「今日はチゲでも食べるかなー」とコリアン街に出かけたりと、食事面でも充実した日々でした。

 

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528125938j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528125933j:plain
中華街とギリシア街。ギリシア街はEURO2004でギリシアが優勝した時のお祭り騒ぎの様子であって、暴動ではありません。
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528125951j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528130559j:plain
コリアン街とよく食べたチゲ

 

8週間の語学学校で英語力は身についた気はしませんが、照れずに英語で話してみる度胸は身に付きました。(或いは、でたらめな英語を話すことへの羞恥心が消えました)

また、友達がたくさんできました。「そそぐ」を開店するにあたっても、お酒の銘柄の相談にのってもらったり、お祝いをもらったりと今でも付き合いがあります。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528130924j:plain

トロントの語学学校で知り合った皆さんにもらった招き猫

 

  • カナダ(オンタリオ州)のお酒事情

トロントがあるオンタリオ州の飲酒は19歳になってから。

「おおらかな国」との印象が強いカナダですが、飲酒に関しては日本よりも制約が強めです。

野外での飲酒は基本的にNGで、公園でBBQしながら缶ビールって訳には行きません。

 

お酒を飲む場所だけではなく、販売しているお店も限りがあります。

政府が公認したライセンスをもつ店舗のみが販売可能なのですが、2004年時はコンビニや小さなスーパーでは売られておらず、以下3つのいずれかに行く必要がありました。

  • LCBO(Liquor Control Board of Ontario)
  • Beer Store
  • Wine Rack

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131109j:plain

Beer Store(2004年撮影)


 ※2015年からアルコールの販売ルートが見直され、2018年には多くのスーパーでのビールやワインの購入が可能になったそうです。ネット情報。

※州によってルールが異なります。ケベック州は2004年当時でもスーパーで手軽に購入できました。

 

カナダのビールは味わいがしっかりありながらも、飲み飽きないものが多い印象です。夏だったのでラガーを選ぶことが多かったですが、エールタイプも豊富。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131423j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131506j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131444j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131454j:plain
トロントでの食事を盛り上げてくれたビール達(2004年当時)
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131432j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131520j:plain
人気の「Blue」は、フランス語圏のケベック州では「Bleue」とスペルが変わっています(2004年当時)
  • Caesar

ようやくカナダ生まれのカクテル「Caesar(シーザー)」について。

Wikipediaによると、シーザーは1969年にカルガリーのCalgary Innホテルのレストランのマネージャーである Walter Chell が、イタリアンに合うカクテルの開発の命を受けて、ボンゴレ・スパゲッティからヒントを得て生み出したとのこと。

「1969年って結構最近だな」と思うのは、「2000年以降は最近の曲」と認識する私だけでしょうか。

 

シーザーを超ザックリ言うと「ウォッカをトマトジュースで割る『Bloody Mary(ブラッディ・メアリー)』のトマトジュースの代わりに、クラマトを使ったもの」です。

そのため「Bloody Caesar(ブラッディ・シーザー)」とも呼ばれます。※

※諸説あります。Bloodyにはスラングで「とっても」と強調に使われる場合があり、試作を飲んだ人が「That’s a damn good bloody Caesar!(めちゃうまいシーザー!)」と感激したから・・という説もありました。日本式に言うと「鬼ウマい!」から「鬼シーザー」って感じでしょうか?

ちなみに「Bloody Mary(ブラッディ・メアリー)」は、300人に及ぶプロテスタントを処刑した英国のメアリー1世が由来なので、Bloodyの意味通り「血みどろな」です。

Caesar(シーザー)部分は、イタリア料理に合わせたカクテルだけあって、イタリアの英雄ジュリアス・シーザーから。

 

お店によってレシピも様々で、ソースやタバスコ、ペッパー、セロリなどを加えて味に変化を出します。写真を検索していたら、唐揚げが乗ったものもありました。斬新。

 

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131848j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131859j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528131908j:plain
ネットで出会った「これもう、おかずでしょ」レベルのシーザー達 ※拾い画です

 

ウォッカと並んで主役である「クラマト」、日本ではあまり見かけませんが、カナダではスーパーの棚に並んでいます。ハマグリエキスと濃縮トマト、各種スパイスで作られたドリンクですが、身近なものに味を例えるならば、ボンゴレ・ロッソのソースに近いと思います。(ボンゴレ・ロッソが身近かどうか賛否あるかもですが)

 

心の準備がないと一口目は驚く味ですが、貝の旨味だしとトマトの酸味、絶妙なスパイスがウォッカと合わさった癖になる味わいです。

 

「そそぐ」では、ウォッカをクラマトで割るのを基本とし、タバスコとセロリソルトを添えてお出ししています。そのほか、ご希望があればお応えできるよう尽力いたします。

お店でアルコールを楽しめる状況になりましたら、ぜひお試しください。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528132028j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528132033j:plain
急に唐揚げは乗せられませんが、ご希望をおっしゃってみてくださいね!

 

  • Caesarの想い出

イシザキがいつシーザーに出会ったのか、その時どんな第一印象を持ったのかは思い出せませんが、1998年頃には下北沢近くにある信濃屋でクラマトを買って、冷凍庫にあるウォッカを割って飲んでいました。

2004年にトロントにある大学寮に住んだ時も、「ほしい時にすぐビールが買えない」という背景もあって、部屋にウォッカを常備しておき、スーパーで買ったクラマトで割って飲んでいました。

トロントのBARには、ほぼ必ずシーザーがあります。部屋だけではなくお店でも「おぉ、これが本場の味か!」と頻繁に楽しんでいました。

 

そんなイシザキにちょっとした試練が訪れます。

 

私が行った語学学校は、“アクティビティ”と称したカナダの文化を楽しむイベントが催されていたのですが、そこでシーザーが登場しました。(学校内だったか、みんなでバーに行ったのか思い出せません)

先生が「はーい、このカナディアン・カクテルを飲んでみて」とニヤニヤ笑いながらシーザーを勧めてきます。

他の生徒さんは若い人が多いこともあり、きっと初めて出会うシーザーに「うわ!なにこれ?!」とリアクションし、先生もげらげら笑っています。

 

イシザキは思いました。

「さて、どうするのが正解か」

 

飲んだことあるし。
むしろ好きだし。

何なら今日帰ったら冷蔵庫にあるし。


でもここで「あ、飲んだことあります」と言っていいのか。

やっぱり初めて飲むリアクションをした方がいいのか。

社会人経験を積み、30歳を迎えている私は、周りの雰囲気と自分の気持ちで揺れました。

しかしながら、その後、自分がどんな行動を取ったのか全く覚えていません。

 

何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない(シーザーの名言)

 

何か生み出したとは到底思えないけど、私のせいでその場が盛り下がったりしてませんように。17年前のことを願っても仕方ないですが。

 

概して人は、見えることについて悩むよりも、見えないことについて多く悩むものだ。(シーザーの名言)

 

 <おまけ>

広大なカナダのほんの一部ですが、写真を掲載いたします。

COOLPIX3200(Max 320万画素)、しかも容量節約(メモリーカートも高価な時代)のために一番小さな画素で撮った粗い写真ですが、ご容赦ください。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528161207j:plain

 

  • Toronto(トロント)
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528153241j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528153249j:plain

夏のトロントはいろんなイベントが開催され盛り上がっています。(冬季は全然違うらしいです)

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528154534j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528153910j:plain
市街地を走るストリート・カー(今では古い車種のようです)と、トロント・ブルージェイズの試合。分かりにくいですが、当時ニューヨーク・ヤンキースにいた松井秀喜氏です。
  • Otawa(オタワ)

カナダの首都で、行政の中心です。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528154818j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528154833j:plain
国会議事堂とリドー運河。閘門を利用して水位の違うところへ船を移動させていく様子は面白いです。冬は運河がスケートリンクになるとか。
  • Quebec City(ケベック シティ)

公用語がフランス語であるケベック州は、フランスの文化が色濃く残ります。

f:id:sosogu_Fukuoka:20210528155503j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528155513j:plain
  • Niagara Falls(ナイアガラの滝)
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528160101j:plain
f:id:sosogu_Fukuoka:20210528160115j:plain

 

そそぐ www.sosogu.jp