そそぐのイシザキです。
7月14日現在、4月21日以来久しぶりに通常時間に営業を行えています。
時短営業中に「旅」と「お酒」のブログを書きます!と宣言しておりましたが、遅筆なため僅かな投稿でした。
が!6月に書いた内容を更新し忘れていたので、今更ですがアップいたします。
**********<2021年6月記載>**********
コロナ禍の緊急事態宣言中にできた時間で、行動がままならない「旅」と「お酒」に想いを馳せて書いています。6月に入っても宣言が継続しており、3つ目を書くことにしました。
今回は、シンガポール発祥のジンがベースのカクテルSingapore Sling(シンガポール・スリング)
シンガポール・スリング
とても有名なカクテルなので、ご存じの方も多いと思います。
カクテル名のシンガポールはもちろん国名ですが、スリング(Sling)は、ドイツ語のSchlingen(飲み込む)からきているそう。
スリング。
耳慣れない単語なので、最初「シンガポール・スリリング」だと思ってました。(ネットで調べたら、シンガポール・スリングあるあるのようでした。)
シンガポール・スリング誕生
発祥は、シンガポールのラッフルズホテルにあるLONG BAR。
Wikipediaによりますと、1915年にチーフバーテンダーであった厳崇文(ニャン・トン・ブーン)が最初に考案したもの。
当時、女性は人前でお酒を飲むのは慎むべき行動だったので、一見ジュースのようなカクテルを生み出したとのこと。
「時代か」と思いますが、奇しくもお店で酒類がご提供できない今、「制約の中からアイデアが生まれるんだなぁ」と共感もします。
厳崇文が名バーテンダーとして神格化されていますが、Wikipediaを読み進むと厳崇文の甥にあたるロバート・ニャンが、忘れられていたレシピを発見し、甘過ぎたレシピを改善して南国風のデザインに変えたことで人気が出たとか。
実はこっちが立役者かも知れません。
シンガポール・スリングは、ラッフルズホテルに長期滞在した英国人作家William Somerset Maugham(ウィリアム・サマセット・モーム)の作品「手紙」の中で取り上げられ、欧州での知名度が上がったそうです。
余談ですが、サマセット・モームは、各国に長期滞在し、取材や執筆活動をしつつ、その実は秘密諜報活動をしていたとか。007のジェームス・ボンドのモデルとも言われています。へー。
さらに余談ですが、医師免許も持っていたそう。すごー。
ラッフルズホテルのレシピ(いま尚、日々進化しています)
- ドライ・ジン30ml
- チェリー・ブランデー 15ml
- パイナップルジュース 120ml
- ライムジュース 15ml
- ベネディクティン 7.5ml
- コアントロー 7.5ml
- グレナデンシロップ 10ml
- アンゴスチュラビターズ 1dash(バースプーン)
- パイナップル(飾り用)
- レッドチェリー(飾り用)
スタンダード・カクテルとしてのシンガポール・スリング
シンガポール・スリングがスタンダード・カクテルとなったのは、ロンドンのサヴォイ・ホテルでチーフ・バーテンダーだったハリー・クラドックが、レシピの簡素化を行い、1930年刊行の「サヴォイ・カクテルブック」に掲載したことがきっかけです。
ジンをベースとし、桜色のチェリー・ブランデーを加える点は共通ですが、レシピは相違点が多くありますね。
一般的なレシピ
- ドライ・ジン 45 ml
- チェリー・ブランデー 15 ml
- レモンジュース 20 ml
- 砂糖 1-2tsp(ティースプーン)
- ソーダ水 適量
- マラスキーノ・チェリー(飾り用)
LONG BARにて
LONG BARで飲むシンガポール・スリングは特別!
ということで、観光客(私も含む)で賑わうラッフルズホテル LONG BARへ。
もちろん、飲み物のラインナップは充実していますが、半数以上のお客様がシンガポール・スリングを飲んでいます。(私は頼んでいませんが、1915年当時のレシピ「ラッフルズ1915ジンスリング」も並んで人気だそうです。)
LONG BARのシンガポール・スリングは、一般的なレシピよりフルーツが潤沢な分トロピカルな味わいでやや甘め。
暑い気候と南国ムードのBARの内装の中で飲むと、テンションが上がります。
テーブルにはピーナッツが入った袋が置かれていて、自由に食べることができます。さらに殻をフロアにポイ捨てするスタイルが楽しいです。
シンガポール・スリングのレシピは日々進化を続けているそうです。
左は私が飲んだ2015年のもので、右は現在のもの(公式HPより)
進化がわかりますか?
<注>ブログに登場するお酒は「そそぐでどうぞ!」と書くことが多いですが、ラッフルズホテル シンガポール・スリングは今時点で残念ながらご用意できておりません。
「旅」と「お酒」に想うこと
おうちでも、世界中の美味しいお酒を楽しめる時代。
流通の進化!とても有難く、素敵なことだと思います。
一方で、ブログを書こうと昔の写真を眺めて「また行きたいな」と想いを馳せたり、いつかパリのHarry's New York Bar(ハリーズ・ニューヨーク・バー)で、お店発祥と言われる「サイド・カー」や「ホワイト・レディ」を飲んでみたいと憧れたり、キューバの酒場でモヒート巡りをしたい・・・という夢もあります。
あ!お酒の誕生の背景や小難しいウンチク抜きで、ただ「美味しい」とだけ味わうのも楽しいですね。
お酒の楽しみ方は限りなく自由ですが、「そそぐ」での1杯はご提供するお酒の一片をスタッフがお伝えしたり、偶然居合わせたお客様のエピソードを伺う“町内サイズ”の楽しみがあります。
まだまだ気が抜けない状況ではありますが、世界のお酒を楽しむ選択肢の1つとして、ご来店くださるお客様に楽しんでいただけるよう精進してまいります。
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今回は「旅」が薄めでした。人気の観光地のシンガポールについて、私が改めて紹介する必要はないとも思いつつ、写真だけ掲載させていただきます。
シンガポール飯テロ
2004年と2015年のもの、混在しています。
シンガポール動物園
オラウータンと朝食を食べたり、像にバナナを渡したりと触れ合いが楽しい動物園でした。ホワイトタイガーもかっこいい。(2004年当時)
Tiger Beer
オランダの技術を受けて、シンガポールを筆頭にアジア各国で生産され、今や世界で愛されるビール。「個人は受け付けてないけど、団体予約に紛れてならいいよ」と見学を許可いただきましたが、その団体が直前キャンセルとなり、貸し切り工場見学をさせていただきました。贅沢な体験でした。(2004年当時)
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