そそぐ This Bar is SO SO GOOD.

福岡市中央区薬院にあるBAR。世界の「カンパイ」のかたちをキュレーション。お客さまとの対話でその人にぴったりの “ 飲み方 ”を提案するBARです。

ウイスキー・ウーマン(前編)

そそぐのイシザキです。

8月なので、読書感想文です。

 

米国人作家Fred Minnick(フレッド・ミニック)著の「ウイスキー・ウーマン」を読みました。2013年発刊で、日本語訳版は2021年に初版が出ています。

こちらの本です

タイトル通り、ウイスキーに関わった女性たちの話です。

時代は紀元前から現代まで、関わり方はウイスキーの生産過程だけでなく、マーケティングやバーテンダー等様々。

となると。

カウンターでお客様のグラスにウイスキーをそそぎ入れている私も「ウイスキー・ウーマン」ってことで良さそうです。ギリセーフです。

 

本は紀元前の“ウイスキー以前(将来、ウイスキーにつながる液体)”から始まります。

蒸留の技術が生まれて「ほぼウイスキー」が出来上がるも医療的な側面が強かった黎明期を経て、商売になり、個人商売から企業になり、世界中に流通する現代に至るまで。

その間には魔女狩り、過酷な税の徴収、アメリカの禁酒法など、ウイスキーの発展に逆行する出来事もありました。

 

読後のざっくりした印象は「ウイスキーは、想像していた以上に、女性が活躍してきた分野」と言うこと。

もちろん「他の分野と比較して相対的に」と言うだけで、かつては女性と言うだけで魔女狩りの対象になったり、近代以降も重要なポジションは当然にように男性が占めていたり、女性であることが不利になることが圧倒的に多くあります。

そんな中でも、ウイスキーの長い歴史は(範囲は限られつつも)途切れることなく、女性の力が活かされ続けてきた分野なんだなーと感じました。

「ウイスキー=男性の飲み物」のイメージが未だ根強い中で、このことは嬉しく感じました。ウイスキー・ウーマンの端くれとして。

 

数多く紹介されているウイスキー・ウーマンの中で、2人のエピソードをご紹介したいと思います。

 

アメリカのテイスティング・イベントの生みの親

著書によれば、アメリカのウイスキー会社は消費者向けのマーケティング活動を行っておらず、小売業者の店頭広告頼み。テレビCMをようやく打ったのは1996年だそう。

って、本当ですか?日本ではモノクロ放送の時代から、ウイスキーのCMがあったはず。何なら名作と称されるCMも多く、マーケティングに力を入れていた分野のイメージすらあります。

 

調べてみると、アメリカでは健康被害やアルコールに起因する事故を嫌忌し、ハードリカーのCMの禁止する市民運動があったそう。なるほど。そういう背景が。

確かに私は子どもの頃からお酒のCMが好きで憧れがあり、今は大のお酒好きです。

CMの影響、あるかも知れません。

1996年にCMを打ったウイスキーはロイヤル・クラウン ※画像が1996年のCMかは不明

さておき。

 

さらに本著によると、1990年代のアメリカの一般消費者にとって、ウイスキーは「酔うための液体」程度の認識だったとか。

ウイスキー受難の時代だったようです。

 

そんな中、ウイスキーを一般消費者にテイスティングさせるイベントを、アミ―・ウェストレイクが夫のジョン・ハンセルと共に企画します。1998年のことです。

周囲の識者は「失敗するだろう」と忠告し、担当の弁護士は「正気ですか?」と驚いたそうです。

「酔うための液体」であるウイスキーのテイスティングに興味を持つ人などいない見解が大半な上、万一イベント帰りに飲酒運転で事故を起こす人がいれば、主催者である夫妻にも多額の賠償金が課せられるかも知れない。失敗が予想される上に、リスクが大き過ぎると思われたからです。

しかしながら、開催1か月前にはチケットが完売し、イベントも大成功を収めます。

実は少なからず存在していたウイスキーの味や造り手に興味をもった愛好家が待ってましたとばかりに集い、原材料や工程の違いで生じる味の変化などの解説を聞き入り、更には蒸留家たちの情報交流の場にもなりました。

このイベントの場ではウイスキーは「酔うための液体」ではなく「工芸品」として扱われました。ウイスキー愛好家はどんどん増え、2000年代には追随のイベントがアメリカ各地で開催されています。

参加者が酔いつぶれないように、1杯の量を限定する等工夫したそうです

 

夫妻は「Whisky Advocate」というマガジンを立ち上げています。

2023年現在の夫妻の関り方は分かりませんが、「Whisky Advocate」はWEBマガジンとしても情報をバシバシ発信しています。

 

そそぐのティスティング


そそぐでもウイスキーの飲み比べをご用意しております。

アミーのような覚悟はなく、「楽しいから」「味わってほしいから」程度の呑気なノリですが、

  • 異なる国のウイスキー飲み比べ
  • アイラ島のウイスキー飲み比べ
  • 同じ原酒の熟成年数違い飲み比べ
  • フィニッシュ樽違いの飲み比べ

等。ウイスキーの「工芸品」の側面を感じていただけるセットです。

いろんな飲み比べセットをご用意しております

 

「工芸品」でもあり、酔いたい気分の時は「酔える“美味しい”液体」でもあり。いろんな楽しみ方ができるのもウイスキーの魅力ですね。

 

テイスティング・グラスにそそぐ際には、心の中で「サンキュー・アミ―」とつぶやきます。

 

もう1人はラフロイグを戦火から守り、シングルモルトの魅力を世界に発信した女性。

長くなったので、読書感想文は後編に続きます。

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