5つ目のウイスキー蒸留所は、アイラ島3日目(最終日)10:45開始のボウモア蒸留所。
ポートエレンを朝9:40に出発するバスに乗り、ボウモアの街に到着。開始時間まで余裕があるので、ボウモアのビジターセンターで荷物を預かってもらい、周辺を散策したり、グッズ売り場を眺めたり。




村上さんもこの海辺に立ったってことですね!※撮影は村上陽子さん


参加するのはBOWMORE DISTILLERY TOUR WITH SIGNATURE CASK TASTING(£25/人)
Bowmore Distillery Tours | Bowmore Single Malt Scotch Whisky
※ウイスキーの製造工程の簡単な説明はこちら
まずはモルティングから。
ボウモアは約3分の1が自社モルティングで、3階建てのMalt Barn(モルトバーン)で伝統的なフロアモルティングを行っています。
大麦を蒸留所近くのLaggan(ラガーン)川の水に約27時間浸してフロアに広げ、1日寝かせた後は定期的(3~4時間ごと)にすき返しを行います。


すき返しを体験させてくれます。ラフロイグ蒸留所でピートの投げ入れ体験をし損ねた失敗を反省し、元気に手を挙げて体験させてもらいます。鋤(すき)が重たいので結構体力を必要とする作業でした。

フロアでの定期的なすき返しを1週間ほど続け、適度に発芽したモルトはピートを焚いて燻し、その後熱風で乾燥させます。見学ではキルン(麦芽乾燥室)に入ることができました。


ピートを焚く炉に移動。現役で稼働しています。


見学のメンバーから、ピートの採掘について質問があり、ガイドさんが湿原を保存する活動や、ダメージを減らす採掘方法などの話をなさいました。
英語の理解が曖昧だったので、日本に戻って改めて調べました。「ピートの枯渇=ウイスキー造りができない」位の認識しかなかったのですが、地中に眠っていたピート(炭素の塊)を燃やす=空気中の温室効果ガスを増やす影響があります。そうか、そうですよね。ウイスキーの味どころじゃなかったです。
ウイスキー業界が使用するピートは世界中の消費から見ると1%程度ではあるものの、ピートと言えばウイスキーと想起される代名詞的な存在でもあるので、環境保全の活動に積極的に取り組んでいるそうです。
モルトが乾燥したら、粉砕してグリストに。


ラガヴーリン蒸留所、アードベッグ蒸留所同様にRonnie Lee(ロニー・リー)氏のメンテナンス連絡プレートがあったのかどうか。撮影した写真では確認できませんでした。粉砕機の調子を見ている男性がいるので、他の人がやっているのかも知れません。※写真の男性はロニー・リー氏ではないです。
続いて糖化を行う部屋へ。80年以上も前に造られたステンレス製のマッシュタン(糖化槽)。



発酵用のウォッシュバックが並ぶ部屋。木製(オレゴンパイン)のウォッシュバックが並んでいます。


各ウォッシュバックにプレートが付いていました。ボウモアの歴史に関わる人の名前のようですが、詳細は分からずです。


蒸留の行程です。ポットスチルが4基。奥2つのずんぐりした形状がウォッシュ・スチル(初留器)で手前2つがスピリット・スチル(再留器)です。




ボウモアは熟成樽が並ぶWAREHOUSEを見学させてくださいます。


スコッチ最古のWAREHOUSEであるBOWMORE No.1 Vaults(第一貯蔵庫)へ。Vault(ヴォルト)とは地下貯蔵庫の意味で、その名の通り床の一部が海抜0メートルよりも低い位置にあります。

中はたくさんの樽が熟成中で、荘厳な雰囲気を感じます。バーボン樽が最も多く、シェリー樽が続きますが、ワイン樽やミズナラ樽もあります。


ガイドの方が「この中に『ミズナラ』って聞いたことある人いますか?」と質問なさったので、自分の英語力を顧みず脊髄反射で手を挙げて「日本の木です」と答えました。自分の勇気に乾杯。追加の説明を求められなくてホッとしました。これ以上は聞かないでって表情だったのでしょう。手を挙げおきながら。


ここで樽からそそぎたての「BOURBON CASK No.11322 54.3%」と「SHERRY Cask No.11262 54.6%」をテイスティング。

樽を眺めながら味わうと「長い間、海の側(と言うか、ほぼ海)の貯蔵庫で熟成されてたんだなぁ」と感慨深さマックスです。

最後はビジターセンターの2階のバーで「Bowmore 18年 43%」


ボウモア蒸留所の見学ツアーは体験要素もありとても楽しかったです。
長い間大切に使われている粉砕機やマッシュタン、荘厳なスコッチ最古の貯蔵庫など、コツコツとウイスキーを造ってきた歴史も感じることができました。
そそぐでは、ボウモア12年を通常メニューとしてバックバーに並べています。


海で大切に育まれたボウモア、これからも心をこめてそそぎます。
www.sosogu.jp
【アイラ島への旅 Vol.1】福岡からグラスゴーへ(計画編)