そそぐ This Bar is SO SO GOOD.

福岡市中央区薬院にあるBAR。世界の「カンパイ」のかたちをキュレーション。お客さまとの対話でその人にぴったりの “ 飲み方 ”を提案するBARです。

【アイラ島への旅 Vol.12】ボウモア蒸留所

5つ目のウイスキー蒸留所は、アイラ島3日目(最終日)10:45開始のボウモア蒸留所。

ポートエレンを朝9:40に出発するバスに乗り、ボウモアの街に到着。開始時間まで余裕があるので、ボウモアのビジターセンターで荷物を預かってもらい、周辺を散策したり、グッズ売り場を眺めたり。

やってきました!

ビジターセンターへ

ボウモアのこの光景は、蒸留所敷地内ではなく近くの海辺から

村上春樹著「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」
村上さんもこの海辺に立ったってことですね!※撮影は村上陽子さん

グッズ売り場は充実していました

希少で高価なボウモアが並んでいます

参加するのはBOWMORE DISTILLERY TOUR WITH SIGNATURE CASK TASTING(£25/人)

Bowmore Distillery Tours | Bowmore Single Malt Scotch Whisky

 

※ウイスキーの製造工程の簡単な説明はこちら

まずはモルティングから。

ボウモアは約3分の1が自社モルティングで、3階建てのMalt Barn(モルトバーン)で伝統的なフロアモルティングを行っています。

大麦を蒸留所近くのLaggan(ラガーン)川の水に約27時間浸してフロアに広げ、1日寝かせた後は定期的(3~4時間ごと)にすき返しを行います。

壮観です!

適度に根と芽が生えてきた大麦

すき返しを体験させてくれます。ラフロイグ蒸留所でピートの投げ入れ体験をし損ねた失敗を反省し、元気に手を挙げて体験させてもらいます。鋤(すき)が重たいので結構体力を必要とする作業でした。

憧れのモルトすき返しを体験

フロアでの定期的なすき返しを1週間ほど続け、適度に発芽したモルトはピートを焚いて燻し、その後熱風で乾燥させます。見学ではキルン(麦芽乾燥室)に入ることができました。

天井は四角錐になっています

四角錐の天井は、外から見るとこんな感じ。煙はパゴダ煙突に抜けます



ピートを焚く炉に移動。現役で稼働しています。

燃やしてますよー

ボウモアのスモーキーさをもたらすピート

見学のメンバーから、ピートの採掘について質問があり、ガイドさんが湿原を保存する活動や、ダメージを減らす採掘方法などの話をなさいました。

英語の理解が曖昧だったので、日本に戻って改めて調べました。「ピートの枯渇=ウイスキー造りができない」位の認識しかなかったのですが、地中に眠っていたピート(炭素の塊)を燃やす=空気中の温室効果ガスを増やす影響があります。そうか、そうですよね。ウイスキーの味どころじゃなかったです。

ウイスキー業界が使用するピートは世界中の消費から見ると1%程度ではあるものの、ピートと言えばウイスキーと想起される代名詞的な存在でもあるので、環境保全の活動に積極的に取り組んでいるそうです。

 

モルトが乾燥したら、粉砕してグリストに。

1960年代から活躍を続けるPorteus(ポーティアス)社のモルト粉砕機

ラガヴーリン蒸留所、アードベッグ蒸留所同様にRonnie Lee(ロニー・リー)氏のメンテナンス連絡プレートがあったのかどうか。撮影した写真では確認できませんでした。粉砕機の調子を見ている男性がいるので、他の人がやっているのかも知れません。※写真の男性はロニー・リー氏ではないです。

 

続いて糖化を行う部屋へ。80年以上も前に造られたステンレス製のマッシュタン(糖化槽)。

糖化中です

GRISIT BIN(グリストを入れておく場所)からマッシュタンへグリストがそそがれるようです。手前にあるのはお湯が入るタンクでしょうか。

発酵用のウォッシュバックが並ぶ部屋。木製(オレゴンパイン)のウォッシュバックが並んでいます。

絶賛発酵中

各ウォッシュバックにプレートが付いていました。ボウモアの歴史に関わる人の名前のようですが、詳細は分からずです。

ボウモアの歴史に刻まれた人の名前がプレートになっています



蒸留の行程です。ポットスチルが4基。奥2つのずんぐりした形状がウォッシュ・スチル(初留器)で手前2つがスピリット・スチル(再留器)です。

熱いので触ってはいけません。近づけているだけです。
部屋中を流れる管それぞれに「何が流れているか」を書かれています

スピリットセーフ

 

ボウモアは熟成樽が並ぶWAREHOUSEを見学させてくださいます。

道中に見た小川。仕込み水なのかはわかりません。

道中に見た看板。こういう「みんなで目標を達成しよう」って掛け声的な貼り紙好きです。

 

スコッチ最古のWAREHOUSEであるBOWMORE No.1 Vaults(第一貯蔵庫)へ。Vault(ヴォルト)とは地下貯蔵庫の意味で、その名の通り床の一部が海抜0メートルよりも低い位置にあります。

白壁に「BOWMORE」と描かれた建物が第一貯蔵庫です

中はたくさんの樽が熟成中で、荘厳な雰囲気を感じます。バーボン樽が最も多く、シェリー樽が続きますが、ワイン樽やミズナラ樽もあります。

ガイドの方が「この中に『ミズナラ』って聞いたことある人いますか?」と質問なさったので、自分の英語力を顧みず脊髄反射で手を挙げて「日本の木です」と答えました。自分の勇気に乾杯。追加の説明を求められなくてホッとしました。これ以上は聞かないでって表情だったのでしょう。手を挙げおきながら。

ミズナラ樽

アストンマーチンとのコラボ樽

ここで樽からそそぎたての「BOURBON CASK No.11322 54.3%」と「SHERRY Cask No.11262 54.6%」をテイスティング。

樽からグラスにそそぎ入れてくれます

樽を眺めながら味わうと「長い間、海の側(と言うか、ほぼ海)の貯蔵庫で熟成されてたんだなぁ」と感慨深さマックスです。

樽に囲まれながらテイスティングできる贅沢な時間

 

最後はビジターセンターの2階のバーで「Bowmore 18年 43%」

カウンターのグラスにボウモア18年がそそがれます

デッキでボウモア湾を眺めながらボウモア18年を

ボウモア蒸留所の見学ツアーは体験要素もありとても楽しかったです。

長い間大切に使われている粉砕機やマッシュタン、荘厳なスコッチ最古の貯蔵庫など、コツコツとウイスキーを造ってきた歴史も感じることができました。

そそぐでは、ボウモア12年を通常メニューとしてバックバーに並べています。

現在、そそぐにいるボウモア12年

ネック部分に「No.1 Vaults」が刻まれています。あの海の側の貯蔵庫で12年眠っていたってことですね

海で大切に育まれたボウモア、これからも心をこめてそそぎます。

www.sosogu.jp

 

【アイラ島への旅 Vol.1】福岡からグラスゴーへ(計画編)

【アイラ島への旅 Vol.2】福岡からグラスゴーへ(実行編)

【アイラ島への旅 Vol.3】グラスゴーの街並み・パブ

【アイラ島への旅 Vol.4】グラスゴーからアイラ島へ

【アイラ島への旅 Vol.5】アイラ島3日間の流れ

【アイラ島への旅 Vol.6】アイラ島の宿・飲食

【アイラ島への旅 Vol.7】ラフロイグ蒸留所

【アイラ島への旅 Vol.8】ラガヴーリン蒸留所

【アイラ島への旅 Vol.9】アードベッグ蒸留所

【アイラ島への旅 Vol.10】ポートエレン蒸留所

【アイラ島への旅 Vol.11】アイララム蒸留所

【アイラ島への旅 Vol.12】ボウモア蒸留所

【アイラ島への旅 Vol.13】アイラ島からグラスゴー

【アイラ島への旅 Vol.14】グラスゴーから福岡へ